現調とは?あー、なるほどね!と分かる意味・解説・項目

現調(げんちょう)とは何でしょうか?

結論から伝えると、現地調査・現場調査の略です。

要は、直接現場(現地)に赴き、あれやこれやと調査をすることです。

他のニュアンスだと「調達」、「調整」の意味もあります。

機械設計や現場の設備関係の業界にいると、現調とは前者の現地調査・現場調査の意味合いになるでしょう。

ここでは、機械設計に取り組む際の現場での確認事項を見ていきます。

現地調査・現場調査とは何を「調査」するのかを詳しく見ていきましょう。

もくじ

設計前確認項目

ここでは、機械設備をどう配置するのかを検討する上で、あらかじめ現場で何を確認するのかを見てみましょう。

搬入経路(シャッター寸法)は測定したか?

機械を工場内へ横引きして、入れる際に搬入経路から入場可能か確認します。

設置場所の詳細は把握したか?

実際に機械を配置する(据付する)場所に干渉物・邪魔物はないか確認します。

ユーティリティの取り合いは確認したか?流量、圧力は問題ないか?

機械設備において、「ユーティリティ」というのはその機械を稼働させる上で必要な圧空(あっくう)、水、ガスなどです。

機械を稼働させる上で必要な圧力や流量が機械の規格として決まってますので、それを現地で確認します。

床勾配はどの程度あるのか?

機械を配置させる場所は屋外であれ、工場内のような屋内であれ勾配(こうばい)があることがあります。

勾配(こうばい)とは雨などの水分が溜まらないように、床につけておく傾きのことです。

このような勾配がある場合は、当然機械を据え付けると機械自体も斜めに置かれてしまうため、機械の脚の部分(ベース部)にライナーなどを敷く必要が出てきます。

ライナーとは、ステンレスや鉄などの1mm~10mm程度の厚みのある板のことです。
機械のベース部に敷いて機械自体が水平になるように調整するためのものです。

その勾配があるかを確認します。(もちろんない場合もあります)

工事確認項目

次に、機械設備の工事をするためにあらかじめ把握しておくべき項目を確認していきます。

工事の際はあらゆることを念頭に置いて、準備しておかなければなりません。

とても重要な箇所ですね。

搬入・荷下ろし場所は確保できるか?

機械設備を現場に据え付けする工事の場合、現場に持っていくのはだいたいトラックかユニックと呼ばれるものです。

ユニックとはトラックにクレーンがついたものです。そのままクレーンを使って荷台の機械を下ろせるので便利ですね。

そのトラック等を現場に入場させて、現場で荷下ろしできる場所があるかどうかを確認します。

その場所を見つけたら、そこへ搬入・荷下ろししてよいかどうか客先に確認しましょう。

搬入・荷下ろし方法は問題ないか?

客先の工場のルールによっては、搬入の仕方やルート、荷下ろしの方法に制限がある場合があります。

そのため、あなたが想定している搬入・荷下ろし方法で問題ないかを客先に確認しましょう。

搬入時に建築設備に養生は必要ないか?

特に、新工場を建設してその中に機械設備を搬入するなどの工事の際は注意が必要です。

機械を横引き・移動させる際に新工場のピカピカの床や壁などを機械で傷つけてしまった、、、なんてことのないようにしたいですね。

養生の必要はあるか?養生方法は?どの範囲まで必要なのか?

養生シートなどを床に敷くのか、壁にも貼り付けるのか等、客先と確認を取りましょう。

搬入場所に木材などの搬入規制はないか?

特に、食品工場に搬入するとなると規制は強くなる傾向です。

新しい機械というのは木材で囲って養生してあることがあります。

それをそのまま工場内に搬入しても良いかどうか。確認しましょう。

ちなみに、食品工場で木材が禁止されている理由は、木材の中に虫が住んでいたり、木材の木片などが飛散して、食品への異物混入の恐れがあるからです。
食品ですから、色々と気を使うのですね。

AC100V工事用電源は問題ないか?場所はどこか?

機械を据え付ける際にあらゆる電気工具を使います。

その際に、使用してよいAC100V電源の場所を確認しましょう。

中には、使用禁止の場所もありますので注意が必要です。

ここ最近では、充電式の工具が増えていますので充電コードがさせる場所の確認ですね。
あ、ちなみにそのまま電源コードに電気工具のコンセントをささずに、ビリビリガードのような漏電遮断器付き延長コードを間にはさませるとお客様から「お、この業者は気をつかってくれてるな」と思われたりします。

AC200V工事用電源は問題ないか?場所はどこか?

AC200Vで使用すると言ったら、代表的なものは溶接機具でしょうか。

現場工事で欠かせないのが溶接ですね。

機械設備、配管や架台を取付する際にも必要になってきますが、どの場所にある電源を使用してよいのか確認しましょう。

工事場所と電源の場所が離れている場合は、工事業者に延長コードを準備してもらったりします。

水洗浄、洗い場はあるか?場所はどこか?

機械設備において、特に配管工事をする際に頻繁に使ったりしますね。

溶接した配管を洗浄したりする場所の確認です。

現場で溶接した際には、溶接の汚れがあるのでそれを除去します。

もちろん、溶接に限らず機械設備の汚れなどをふき取る際に水道の場所がどこにあるか、使用しても良いか、客先へ確認しましょう。

加工場、内作場は必要か?必要なら場所は確保できるか?

配管や架台、ブラケット等の機械設備関係を取付する際に現場で組み立てや溶接を行います。

その際に確保しておくスペースのことを加工場・内作場と呼びますが、場所は確保できるか確認しましょう。

特別な作業員の入場ルールはないか?

大手・大企業の工場になってくると入場ルールがしっかり決まっていたりします。

当然、入場ルール・現場ルールを守らないと客先からお叱りを受けたりあまりにルールから逸脱する場合、下手をすると現場への入場を断られたりします(!!)

そうならないよう、入場ルール・現場でのルールは確認するようにしましょう。

入場ルールに関しては、特に大手であれば入場ルールの書類一式をあらかじめ配布して確認するようにと言われる場合が大半です。それに伴う、「新規入場者教育」というものもあります。初めてその現場に入場する際に、ルールを教育するためのプチ講義みたいなものです。

既設の機械設備への養生は必要か?

既設の工場へ新しく機械設備を導入する場合、すでに現場に機械設備が配置されています。

そこの間を縫って、新設の機械を横引きする際に既設の機械とぶつかって傷をつけてしまわないよう、養生は必要か確認しましょう。

万が一、既設の設備を傷つけてしまった場合、しかもその設備が高価なものであった場合、弁償しないといけない可能性も当然出てきます。
養生が必要か、迷った場合は養生をするに越したことはありません。

工事前に提出する書類はないか?

工事前には、「安全書類一式」などの書類を提出する場合があります。

現場で工事する際の、工程・作業人員・作業内容・危険な作業とリスクと回避方法などです。

事前に客先に提出して、承認を得ます。

要は、「私たちは安全第一で全ての期間の作業を行う事を約束します」という書類上の取り決めです。

とても大切な書類なので、これも大手の客先であれば当然必要な提出書類に含まれている可能性大なので確認をとりましょう。

工場内において工事の際に交通規制をかける必要はないか?

現場工事の際は、他の業者の工事場所とかぶってしまうことがあります。

また、機械設備を積んだトラックなどが入場する際のルートを確保するため、工場内の道路に規制をかける必要がある場合があります。

そのため、同じ日に又は工程内に別業者の工事があるかどうか、交通規制をかける必要があるかどうかを事前に確認しましょう。

結構あるあるなのが、建築業者と設備業者は仲がよろしくないということです。。
工場自体を建設する建築業者、その工場内に設備を導入していく各設備業者。
工事工程がかぶった場合は何かとケンカになることも(!?)

不要物の移動、既設機器の洗浄など客先にお願いしておくことはあるか?

新しく工場内に機械設備を導入する際に、設置する場所に不要なものがあると当然邪魔になります。

その際に、客先に不要物はどかしておくことをお願いしておかなくてはなりません。

または、こちら側でどかしておくことをお願いされるかもしれません。

それらのことを確認しておきましょう。

雨などの天候により、作業自体に影響は出ないか?

天気が雨だと、何かと作業に支障がでます。

機械設備を搬入・荷下ろしする際に、機械を濡らしてしまったり作業員のスリップによる転倒事故なども。

雨などで、工事に支障が出そうなところは事前に想定して対策を練っておきましょう。

重機確認項目

続いては、工事に何かと必要になる重機類に関する確認項目です。

特に、大型のラフタークレーンなどは大掛かりな設備を導入・工事する際に必要になってきます。

そのような重機に関する確認項目を見ていきましょう。

重機の設置場所はあるか?スペースは確保できるか?

重機は広い面積のスペースを必要とします。

それを配置する場所やスペースはあるかを確認しましょう。

重機の作業計画書は提出する必要があるか?

大きな重機になると、どのような重機をどれくらいの期間、どの場所に、何の目的で配置するのかなどを事前に客先に伝えておく必要が出てきます。

その際に提出するのが重機の「作業計画書」です。

客先によって、フォーマットが異なってたりするので事前に提出が必要か確認しましょう。

提出義務がある場合は、当然客先からフォーマット書類一式をもらっておく必要が出てきます。

重機の作業内半径に客先従業員は影響ないか?

既設の工場内で工場のオペレーターが作業する傍らで工事をする場合があります。

特にラフタークレーンのような大きな重機の作業内半径に工場内オペレーターの動線が入っている場合は最新の注意を払う必要があります。

大体の場合は、重機を扱う作業範囲は規制されます。それでも、客先の作業員が重機の規制範囲内に入ってくる場合があり危険を伴います。

しっかりと確認をとりましょう。

ガソリン車は現場作業可能かどうか?

重機を扱う際に、ガソリン車の場合があります。

ガソリン車が規制される工場内ルールも存在しますので使用可能か確認しましょう。

重機の排気ガス処理を行う必要はないか?

ガソリン車の許可が下りても、排気ガスの処理をする必要があったりします。

工場内に排気ガスがこもるのを避けるためです。

その際は、排気ガスを屋外へ逃がすための排気ガス用ダクトなどを敷いておかなくてはならなくなります。

その必要があるかどうか確認しましょう。

高所作業確認項目

続いて、高所作業における確認項目です。

配管などの機械設備は地上から10mなどの高い位置に取り付けなければならない場合が出てきます。

その際などに確認しておく項目があります。

高所作業などで足場の必要はあるか?

脚立で事足りる場所ならともかく、足場を組まないとアクセスできない高さの場合は足場屋さんにお願いして足場を組んでもらう必要があります。

その必要があるか確認しましょう。

足場の組み方にも、客先の場内ルールがあったりします。その場合は客先の資料を足場屋さんに配布して確認してもらうようにしましょう。

高所作業の際に安全帯を取る場所は確保されているか?

高所作業では、安全帯を体に装着して作業を行わなくてはなりません。

安全帯の金具を掛ける場所が高所のどこかにあるかどうか確認しましょう。

高所作業車を使用する場合は大きさ・スペースは問題ないか?

高所作業車に乗っての作業の場合は、高所作業を搬入させて使用したり、移動したりするスペースは確保できるか確認をしましょう。

作業スペースが狭くて、高所作業車が使用できない場合は、足場を組むなど別の方法を検討しないといけなくなります。

高所作業において、作業員がより安全に作業できそうか?

高所作業は、前提として危険を伴っています。

作業員が落下した場合は、重症又は死に至るケースもあるからです。

現場での高所作業において、より安全を考慮して作業に従事できそうかは特に気を使って確認を取るようにしましょう。

最後に、現場での経験を知恵に昇華させよう

ここまで、現調での確認事項を項目に沿って見て頂きましたがいかがでしたでしょうか。

現場調査では、考慮しておくことがたくさんありますのでこれらのことをしっかりリスト化して現調に臨むようにしましょう。

初めての現調ではアタフタしたり、確認項目を忘れたりすることもあるかもしれません。

何度も経験するうちに、確認することにも磨きがかかり、当日の工事への準備もスムーズに行えます。

知識+経験=知恵 です。

現調して、現場で作業して気づいたことや反省点を振り返り、あなたならではの知恵として昇華させてください。

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